「せんせい、」
そう背後から声が聞こえた、放課後、図書室、いちばん奥、角。
あまり、と言うよりもほとんど人から見えない位置にある私の特等席。
自殺の 特等席。
「せんせい、何してるんですか?」
「見ればわかるでしょう、これから私はあらゆるしがらみを捨てて新世界に旅立とうとしているんです」
「はぁ…新世界、ですか」
「新世界です。ある漫画の主人公とは違いますけどね」
そういいながらいつも携帯している縄に首をかける。
ぎしっ
「…ねぇ、せんせい」
「はい、なんでしょう久藤君」
「あらゆるしがらみって、それ、僕も含まれますか?」
「…そう です、ね。含まれるかも…しれません」
「そうですか…」
途端、寂しそうな顔をする彼。なんですかその顔は。私に文句でもあるんですか。
「文句なんてありませんよ」
「また、心を読みましたね?」
「読んでません。せんせいが口に出してたんですよ」
くつくつと、可笑しそうに喉を鳴らして答える彼。私口に出してたんですか。そうですか。
「今度からは、口に出して言わないよう努力しないとなりませんね」
「そうですね、なるべく気をつけてください」
「ええ、そうします」
しかしちょっとまて
こんど?
と言うことは、
私はまだ、生きるのですか?
「…せんせい、いつまで椅子の上に乗ってるんですか?そろそろ暗くなりますし、帰りましょう」
よろしければ、一緒に。
彼に言われるがまま、折角首にかけた縄を解き天井から取り外し、椅子から降りて草履を履いた。
「…では、帰りますか」
「ええ、帰りましょうか」
そうして私は私の気づかぬ間に彼によって生を求め、なかったはずの次の日もまた彼と過ごすのだろう。
結局私は、
のらりくらりといきている
初めてかいた准望。まず小説って物自体書かないからすごく迷いました。